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AZ-104 Microsoft Azure Administrator Associate 合格体験記とその勉強法

今年度、自社の社内ルールが変更となり社内で使えるクラウドの数と適用領域が広くなったことを受け、いよいよ我々のチームでも他のクラウドへ本格的に手を出し始めました。直近でクラウド各社のコグニティブ系サービスの比較検証を行った際に、Azureコグニティブサービスの出来の良さに感動してしまい、俄然Azureに興味を持ち始めました。

これまでAzure自体の理解が薄かったのと、会社側からAzure関連の資格受験補助が出ることもあり、せっかくだから資格試験を受けてみることにしました。受験にあたってはそれなりに知見も溜まったんでシェアしておきたいと思います。

この記事の想定読者

念の為、この記事の想定読者を書いておきます。

  • AWS Solution Architect Associate/Professional , Sysops Adminstratorの資格保有者
  • AWS側の資格構成が理解できており、AWSのサービス全体像ならびに主要サービスの中身を理解している
  • まさにこれからMicrosoft Azureを学んでいこうとしている、あるいは基礎的なものは学習済みである

なお会社から補助が、という話を書きましたが私はAZ-104受験にあたり、本来高額な有償セミナー受講などの方法は取っていませんので、この投稿にもその手のレビューはありませんのであしからず。

Azure資格試験全体とAZ-104の概要

Azureの資格試験は下記公式にまとめられていますが、

docs.microsoft.com

これだけだと見難いので下記に超わかりやすい図をまとめてくれいたので参照させていただきます。

zenn.dev

f:id:mamoahcy:20210709084751p:plain
https://storage.googleapis.com/zenn-user-upload/ttvw38i14k6ppsx904pazt6ezqhw

AzureにはいわゆるAWS SAAにあたる資格がなく、SOAとSAAの両方にあたる「Azure Administrator(AZ-104)」という資格があります。逆にSAPにあたる資格は「Azure Solution Architect Expert(AZ-303/304)」となり、2つの試験を両方ともクリアしないと得られない非常に難関な試験になっています。

AZ-104 Azure Administratorの試験概要は以下に記載がありますが、この資格試験に合格して受けられる認定資格は「Microsoft Auzre Administrator Associate」になります。

docs.microsoft.com

資格試験勉強の準備(※英語が苦手な人向け)

私は英語が得意ではないのですが、AWSと違いAzureはまだMicrosoft公式以外では日本語の情報が少なく、必然的に英語の教育コンテンツやWebサイトに頼ることになりますが、英語が苦手な人にとっては翻訳が正確にできない、分かりづらいなどいろんな問題があるため、紆余曲折を経て下記の構成を準備して勉強にあたりました。英語が苦手な人にはおすすめです。

1:教材を読むブラウザをMicrosoft Edgeにする

Chromeでも拡張機能でWebページ翻訳機能ができるようになりますが、Edgeではデフォルトで翻訳機能がついているうえ、何とUdemyの動画コンテンツで表示される英語字幕のリアルタイム翻訳にも対応しています。(Chromeは非対応) 翻訳精度は正直いってあまり高くはないのですが、これができると出来ないでは勉強時間に大きな差がでます。

f:id:mamoahcy:20210709085429p:plain

またChromeにもある「Read Aloud」という拡張機能はブラウザ上で選択した文章を読み上げてくれるものですが

microsoftedge.microsoft.com

Read Aloud: テキスト読み上げ音声リーダー - Microsoft Edge Addons

実はEdgeにこれを入れるとChromeにはない音声「Microsoft Nanami Online(Natural) - Japanese 」を使うことができます。このText-to-Speechの音声が超秀逸で、まるでテレビの女子アナウンサーが原稿を読み上げてくれているような超ナチュラルな感じなのです。私がAzureに興味を持つきっかけとなったのもこのAzure コグニティブサービスの1つもこの「Text-to-Speech」の凄さでした。

azure.microsoft.com

↑で入力したテキストを喋ってもらえるので、音声の自然さをぜひ確認してみてください。

2:長文翻訳3点セットを準備する

Google翻訳やEdgeの翻訳の精度がいまいちで、高精度の翻訳サービスといえばDeepL翻訳なんですがこいつの無料プランは最大5000文字までしか翻訳できません。また教育コンテンツやPDFなどから英文をコピペしてくると改行位置などがズレて文として正しく解釈できなくなったりします。これらを解決するために、以下の3つのサービスをつなげて使います。

①英語翻訳用改行整形ツール (fc2web.com)

sunafukey.fc2web.com

改行位置がごっちゃごちゃになった英文をつないでキレイに一文にしてくれるWebサービス。文章毎に改行コードを挿入してくれるオプションもあるので翻訳後の文章が見にくくなることもありません。最大で何文字まで行けるかは試していませんが私が使った限りでは2万文字以上の文章は行けます。

②Paper Translation Helper (takanotume24.github.io)

takanotume24.github.io

英語の文章を指定した文字数以下の丁度いい文章のところで区切ってくれるWebサービス。こいつのいいところは単語で切るのではなく、文章、つまりピリオドが打たれている位置を計測し、指定した文字以下の最も長い文章を作ってまとめて切ってくれるサービスです。

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③DeepL翻訳:世界一高精度な翻訳ツール

www.deepl.com

言わずとしれた超高精度翻訳ツール。上で5000文字以下に切った文章をコピペして貼り付けるだけで超高精度に日本語に訳してくれます。上のツールで改行を入れておくと文章としても非常に読みやすくなります。

なお、私は仕事で疲れて文字を読む気になれなかったときは、先のRead Aloudを使ってNanamiさんに読んでもらっていましたww

3:スマホでも読めるメモサービスを準備する

今どきは何でもクラウド対応しているので大抵は大丈夫ですが、勉強しているPCでしか読めない形式で学習メモを残すのは学習場所を限定してしまうのでよくありません。私の場合はMacを使っているのでMacOS純正のメモ帳を使いました。iCloud経由でiPhoneにもiPadにも同期されるのでいつでもメモを見返せます。

最近私は寝室にスマホを持ち込まないようにしているのですが、それでも寝る前に読み返したいのでメモ帳をPDFに書き出してKindleに送ったりしてました。もちろん手書きのメモ帳を使うのも、学習場所を選ばないという意味では有効的です。

使ってみた/買ってみた教材あれこれ

以下、やってみた勉強方法と効果などを書き出してみます。おすすめ度合いを★マークで表現、有料/無料の区別ができるように書いてます。

①★★ (無料) Microsoft Learn

docs.microsoft.com

Microsoftが公式に出している学習コンテンツで、資格取得を目的に設定すると、必要なすべての学習コンテンツを「ラーニングパス」という名前のコース形式で提供してくれる素晴らしいサービス。日本語にも対応しており、デモやハンズオンまで用意されている。

ただしAZ-104に向けたラーニングパスの合計だけでトータル50時間以上の学習時間が必要で、その前提条件となるAZ-900のラーニングパス「Azure の基礎 第 1 部〜第6部」だけでも10時間以上の学習時間が必要です。あまりに長かったので私は途中で挫折してしまいましたが、時間に余裕がある人にとっては非常に有用なコンテンツとなるでしょう。少なくとも「Azureの基礎」だけはやっておいたほうがいいと思います。

docs.microsoft.com

docs.microsoft.com

②★★(無料)AWSとAzureのサービス比較

Azureのサービス名に馴染みがなく、名前だけでなんだか分からない場合は、AWSとのサービス比較ページを見ると一発で腹落ちできます。公式ドキュメントに記載があるので間違いないので安心。

docs.microsoft.com

他にもQiitaなどで差分の解析を行っている記事があるので参考にしたほうがいいです。

ただし、横並びになっているものでもサービス差分がかなりあります。この一覧だけを見て、機能面でもまったく同じだとは思わないほうがいいです。(これは最後に書きます)

③★★★(有料) Kindle教材:速習Azure Administrator (技術の泉シリーズ(NextPublishing)

全然理解が進まないので、全体像を掴み直すべく、Amazonがセールの時を狙って500円で購入。

「値段のわりに内容が薄い」とAmazonのコメントでかなり叩かれていますが、個人的には試験の全体像やAzureそのものを掴むのにとても良かったです。しかもこの本は各章の最後にMicrosoft Leanや公式ドキュメントへのリンクが記載されているので、そこからデモを動かしたり内容を理解していくのにも使えました。この本だけで完結するのではなく全体把握とインデックスという目的で使うほうが良さそうです。とはいえ定価の1980円はやっぱり高いですね・・・・。

④★(有料)Udemy教材:AZ-104 Microsoft Azure Administrator Exam Certification 2021

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www.udemy.com

Udemyの中でかなり人気の高いScott Duffyさんによる教材。ただし英語オンリーで日本語字幕もなし。これは先に書いたMicrosoft Edgeの自動翻訳機能にめちゃくちゃ助けられました。

かなり評価も高いし網羅性も高いのですが、私が見た限りではこの教材ではAZ-104の対象範囲の全体像が見えるだけで、試験対策という意味ではあまり役にたちませんでした。 一部デモ映像が見れるのはとても良かったので、英語がきちんと聞き取れる人にとってはおすすめなのかもしれません。

⑤★★ (無料) Microsoft Azure Exam AZ-104 Certification | WizLabs

www.whizlabs.com

実際のAZ-104試験で出題されるのと同じ形式の演習問題です。Free版では40問の模擬試験形式で受けることが出来ますし、出題カテゴリ毎の正答率や問題毎の細かい解説も入っています。

全編英語ですがこれはきれいに和訳できるので英語が苦手でも問題ないと思います。 私はある程度学習が進んだ段階で初回の模擬試験といった扱いでやってみましたが、見事に不合格。。。。 これだけでは全然ダメだ、と痛感しました。

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⑥★★★(有料) Udemy教材:AZ-104 - Microsoft Azure Administrator Practice Tests 2021

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www.udemy.com

こちらもUdemyで人気の教材ですが、動画コンテンツではなく模擬試験形式になっているWebコンテンツになります。 52問/2時間の模擬試験が6セット入っており、試験後に試験カテゴリごとの正答率やかなり細かい内容に関しての解説もあります。

残念ながらこちらも全部英語ですが、こちらも先に書いたEdgeの和訳機能でだいたい問題なく利用できました。

勉強中にTwitterに書いた模擬試験の点数はこのコンテンツのものです。

この模擬試験は試験を受ける上での「Azure資格試験節(ぶし)」に慣れるための非常に重要なコンテンツとなりました。 正直、こいつがなかったら絶対に受からなかったと思います。超おすすめです。

他にも調べたところ下記のページに演習問題があるようです。2021/07/07現在、私が見た限りコンテンツは見れましたが、細かい検証はしていませんので参考まで。

実際、どうやって勉強したの?

まず試験概要のページを読み、出題範囲を把握したあとに②を見て、スコープ内にありそうなほぼすべえてのサービス概要ページを見た後、①からAZ-104のラーニングパスに入りました。

しかしこの方法はダメでした。元々オライリー本が苦手な私にとって、英文ベースの教材を強引に和訳したものにどうしても馴染めず、あんまり頭に入ってこず途中で挫折してしまいました。 (後から考えたらこの教材をすべてやっても良かったと思いますが。。。)

そこで②を書い、Azureサイドから見た機能全体像を把握しました。

実はこの本だけでは資格試験に出てくるような課題の提示に対する実現方法、コンソール操作方法、CLIコマンドなどが殆ど掴めないのですが、この本には各章の後ろにMicrosoft Learningへのリンクが記載されており、そこから辿って演習を行う、という方法で順次学んでいきました。この時点で、AzureAD、サブスクリプション、リソースグループ、VNetなどの基本的な考え方や構成、またVNetにおけるネットワーキングの制御やその上で動くVMやAKSなどの概要は掴むことが出来ました。

次にやったのが演習問題の実施です。

試験形式になっているコンテンツを選んだおかげで、自分がどのくらいのペースで回答が出せるのか、またどの分野が弱いのかがとても良くわかりました。

演習問題で間違えたものの解説を読み、解説の記載内容がわからないところの深堀りを公式サイトや解説サイトを追いかけ、それを試験カテゴリ+サービスカテゴリ毎にまとめてメモっていきました。自分なりの理解と言葉で書くのがポイントで、わかってるところは書かなくて良いです。(つまり他人のメモは役に立たない)

これが試験カテゴリ毎、かつサービスカテゴリ毎に束ねられているので、見直しする時に非常に楽です。

メモが多いところは自分自身の理解が薄く、かつ試験としても出やすいという判断もできます。まさに一挙両得。

たとえば私の1つのメモをお見せします。

④Configure and Manage Virtual Networking (15 questions) 

# VPNまわり

 ○Point-to-Site VPNの作り方

  ルートベースの仮想NWGWを作成し、VPNクライアントから接続する。

  ポリシーベースの仮想NWGWは使えない。

  なおクライアントからの認証は証明書が必要。

  手順としては以下。詳細は(https://docs.microsoft.com/en-us/azure/vpn-gateway/vpn-gateway-howto-point-to-site-resource-manager-portal

   ①VNetを作る(オンプレミス側と重複しないアドレス空間を持つ)

   ②ルートベースの仮想NWGWを作る(要Public IP)

   ③クライアント証明書を発行する(ルート証明書→クライアント証明書。方法はAzure依存でない)

   ④仮想NWGWにて、VPNクライアントアドレスプールを追加する

   ⑤Point-to-Site VPN構成ページでトンネルの種類を選択

   ⑥ルート証明書の公開キーを仮想NWGWにアップロード

   ⑦VPNクライアントの設定(証明書インストール、接続設定)

   ⑧接続

このまとめたメモを夜寝る前に毎回ざくっと見直していました。

以上の勉強ルートを図にするとこんな感じです。

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勉強の期間と学習時間

時間がなさすぎ+勉強の要領が悪すぎ+記憶力弱すぎな私だったので、1回分の演習問題の実施と実施後の解説振り返りやメモまとめが1回の勉強時間内では完了できず、何日もかけて1つの演習問題の振り返りメモを作り終えるというペースでした。しかし未完成の状態でも一応読み物としては機能するので、それまでに書き込んだメモの読み込みは毎晩寝る前に必ずやっていました。

試験勉強を開始してから受験するまでは2ヶ月くらいで、前半の1ヶ月をは基礎学習にあて、演習問題ループを1ヶ月くらいかけてました。 きちんと計測していませんがトータルの勉強時間としては80時間前後だと思います。最短ルートを通れば50時間くらいでもいける気がします。

また今回手抜きしてAZ-900をすっ飛ばしてAZ-104を受けたのですが、正直いってAZ-900を受けてから上がったほうが勉強は間違いなく楽だと思います。

試験当日

試験はオンラインと試験センターのどちらで受けるか迷いましたが、自宅では家族の乱入が怖く、集中もできない可能性が高いため迷わず試験センター受験を選びました

www.first-step.jp

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実は全日夜中まで追い込み(詰め込み)勉強をしており、睡眠時間は3時間程度しかないかなり厳しい状態で10:00から試験でした。

試験会場へ

会場につくと、2つの写真付き身分証明書、それも日本の公的機関が発行しているもので本人確認されます。 パスポート、マイナンバーカード、免許証などで対応できますが、持っていない人は難儀しそうです。

諸々の書類に署名して手続きが終わるとロッカーに腕時計や鍵などを含む全ての身の回りのものを含めて鍵付きロッカーにしまうように指示されるので、受付で渡された番号つきのカードと1つの身分証明書を持って椅子に座って待ちます。

トイレに行っておかないとそのまま案内されてしまうので、事前にすませておきましょう。

秋葉原テストセンターでは、試験会場への入場前にホワイトボードマーカー2本とパウチされた試験説明書が渡されます。このパウチされた試験説明書の裏が小さなホワイトボードになっていて、ここにマーカーでメモを書けます。なるほど。イレイザーはついてこないので書き込んだ内容を消すことはできず、続きを書ききれなくなったり、マーカーが書けなくなったら机にあるボタンで案内係を呼び出せば変えてもらえるようです。

試験開始

騒音防止のヘッドフォンをして試験開始です。試験は公開されている通りトータル150分の試験でしたが、見直し含めて30分残して完了しました。

途中、「一度確定したら後で見直すことができない」というセクションがあるのでちょっとびっくりします。 とはいえ出題形式が変わるわけではないので、いつものように問題文や条件を読んで解けばよいだけです。

試験結果

合格点700点のところ、823点で無事合格できました!

ところでこの試験って明記されてないんですが1000点満点じゃないんですかね?

所感

過去AWS SA Proでは2回落ちて3回目でやっと受かったという苦い経験がトラウマになっており、内心ビクビクして試験会場に向かったのですが、内容的にはAssociateレベルだったからか出題範囲に記載のあるサービスの基本を押さえていればだいたい答えられる問題でした。問題の出方こそ違うものの、まさにレベル感としてはAWS SAAやSOAそのものですね。

とはいえ、殆どのパターンでサブスクリプションとリソースグループの条件説明から問題文が始まる「Azure資格試験節」はあり、非常にに独特なので繰り返し演習問題をやって慣れておくことはとても重要だと思います。

最後に、AWSとのサービス比較は、ざっくりと内容を把握するのには最適ですが、AWSとAzureは生い立ちが違うので、各サービスの機能概要を理解できても意味がありません。

これはおそらくAZ-303/304といった上位資格を取る時にすごく重要な認識になってくると思います。というのも、クラウドを使ったシステムの設計は最適なビルディングブロックの選び方だ、と言われているように、同じ要件をもったシステムをAWSで組んだ場合とAzureで組んだ場合では組み合わせ方が全く異なるからです。

余談

2021年5月までに合格した人は2年更新でしたが、それ以降は1年更新になってしまいました。 更新のための受験費用が無料になったのは良いのですが、これはなかなかにしんどそうです。 普段からきちんと使っている人向けにシフトした、ということで正しい進化だとは思います。

blog.trainocate.co.jp