2006年2月14日
順天堂大学病院に入院した。入院から手術までは2日間ほどの時間があった。
この間に、ドクターとの何度かブリーフィングを行い、手術の説明を受ける。
もともと私の目は「網膜格子状変性」という網膜が普通よ人よりも剥がれやすい状態になっていたようだ。この状態で何の対策もせずにスノーボードしてコケまくっていたのだから、剥がれなかったのはただ単に運が良かったというだけだ。
そしてドクターに、
「術後もスノーボードは続けたい」
「パークライディングも続けたい」
という意思を伝えた。ドクターは剥離が起きてしまった左目を中心に、ボクサー並みの対策を施す手術方針を立ててくれた。
以下は私が実際にうけた網膜復位手術だ。ちなみに、この説明を受けているとき、妻は途中で気分が悪くなっている。内容が内容だけに、この手の話題に弱い人は閲覧注意。
(↓一応、心の準備をしてからどうぞ)
左目:
●ジアテルミー凝固+冷凍凝固
参照元:東海眼科−津駅東口すぐの24時間対応の眼科専門医東海眼科−
剥がれた部位に意図的に火傷を負わせ、それが治ることで網膜と強膜をくっつけるという荒々しい手法。 ジアテルミーが熱による火傷、冷凍凝固が凍傷。
●強膜バックリング
参照元:網膜裂孔・網膜剝離|群馬県伊勢崎市の眼科-上州眼科伊勢崎
剥がれた部位に外側からスポンジを当てて、それを白目に特殊な糸で固定する。レガシーな術式だが復位率は非常に高い。
●赤道部輪状締結
参照元:網膜剥離の検査、治療、手術|大阪府河内長野市/堺市東区・美原区の眼科|医療法人史修会
眼球のウエスト部分にシリコンバンドを巻いて糸で固定する手術。網膜格子状変性が起きている人への予防対策として実施されることもあるそう。
高い剥離予防効果があるが、眼球を動かす筋肉の下にバンドを通すため運動視野に問題が出たり、眼球の形状変化に伴い近視が進行するといった後遺症が残る。
●硝子体内気体注入術(ガスタンポナーデ)
参照元:専門分野のご案内 網膜硝子体疾患 - 大阪医療センター大阪医療センター
眼球の中身である硝子体に針を指し、比重の軽いガスやオイルを封入して内部から浮力で網膜を押し、固着させる手術。 この手術を行うと、ガスによる患部圧着が完了するまで特殊な座位での生活が強制される。
右目/左目:
●光凝固(レーザー凝固)
参照元: 網膜円孔・網膜裂孔に対するレーザー網膜光凝固術を受けられる方へ〜上田皮膚科・眼科医院(旧上田医院)/眼科
患部と格子状変性部位に向け、黒目を通して数百発単位のレーザーを照射。幹部に内側から火傷を負わせて剥がれにくくする対策手術。 外部から熱傷を追わせるジアテルミーと違い患部への負担が低くダウンタイムがほとんどないのが特徴(日帰りで手術できる)。網膜裂孔だと言われた人はだいたいこの手術を受ける。
初回の手術では左目だけを先に行い、症状が安定してからレーザーを撃つスケジュールだ。
この手術の成功率は100%じゃないが、後遺症の発生率は100%。
これだけの手術を行っても、場合によっては再剥離の可能性もある。
そうなれば今度は硝子体手術が必要となり、白内障を誘発して眼内レンズ入れ替えも必要となる。
リスクは承知の上だ。
でも、これを乗り越えなければ、再びパークでキッカーを飛ぶことはできない。
手術は入院から2日後に決まった。
(続く)