インターネットで調べ倒してたどり着いた名医
もう首を切る覚悟はある程度出来ていたものの、他に本当に方法がないのかどうか徹底的に調べることにした。
が、案外答えはアッサリ見つかった。
導管内で数ミリ程度まで成長してしまった唾石を取り出すのに内視鏡を使うという手術方法があるというのが見つかった流れで、それよりも大きく成長してしまった場合でも、場所によっては「口内法」という、口の中から唾液の導管を切って取り出す方法があるということを発見した。
しかもその手術の名医とされる先生が、なんと嫁さんの実家のすぐそばにある横浜市立大学病院に居るらしい。
お名前は 岩井俊憲 先生。年間200例以上の手術経験があり、日本全国だけでなく世界各国からも手術に来られるという。
岩井先生の提唱する「内視鏡下唾石摘出術」では、通常皮膚切開が必要だと言われた症状であっても、口内から内視鏡使い摘出できる可能性があるとのこと。
そこで,われわれは唾液腺開口部(唾液の出口)から細い内視鏡を挿入し,唾石や粘液などの障害物を確認し,唾液の出る管の中からそれらを摘出する内視鏡下摘出術を行っています。皮膚を切開する顎下腺摘出が必要と診断されても,当科では内視鏡下で低侵襲に唾石を摘出できる場合もあります。
(※横浜市立大学附属病院のHPより引用)
さっそく横浜市立大学附属病院の受付にTELし、2020年8月31日に受診予約。
すぐさまかかりつけの病院に向かい、紹介状を書いてもらった。
その後、かかりつけ医から処方された薬のおかげで腫れは引いたが、唾液口らしき場所から唾石が2つも出てきた。痛みと腫れの原因はどうやらこいつだったらしい。記念にケースに入れて残しておくことにした。
↓ケース内の小さい粒が「唾石」 手術後に出会うことになる大ボスと違ってカワイイサイズ♪
2020年8月31日 岩井先生とご対面
まずは大混雑の受付手続きを済ませ、待機行列に並びながら順番を待つ。
いよいよ噂の岩井先生とご対面。
すでに紹介状は読まれていたようで、いくつか質疑のやりとりをしたあと、早速触診に入った。
手袋を身に着け、口の中と外に手をやる先生。
それは「鮮やか」としか表現のしようがない、あまりも無駄のない素早い触診で、答えが出るまではほんの数秒だった。
「うん、大丈夫ですね。口内からいけますよ」
私は思わず「良かった」と声を出してしまった。あの巨大な石をほんの数秒触っただけで取り出せるという判断を下せるあたり岩井先生はそれだけたくさんの症例を見てきたということなのだろう。
おそらくこの瞬間に岩井先生の頭の中には手術のためのプランニングが定まっていたと思う。
入院のために必要となる予備検査一式を受けて口腔外科に戻ると、岩井先生より手術と入院の詳細が提示された。
- 見つかった唾石は全部で4つ。
- 大きな唾石は顎下腺の直後に鎮座。その前に2つ、後ろに1つ小さい唾石がある。
- 前の2つは唾液腺開口部から内視鏡を挿入して摘出
- 巨大唾石は口腔内から唾液管を横から切って取り出し、傷口は全て塞ぐのではなく穴をあえて残して縫合。この位置に唾液腺開口部を「増設」する
- 後ろに残した1つは顎下腺すぐそばで取り出しにくいだめ増設した唾液口からの自然排出を待つ
手術は全身麻酔が必要だが、ここまでの手術でも30分程度らしい。
手術の日程は少し先の2020年10月28日。入院は10月27日からの2泊3日。少し心の準備期間が出来た。
その後、病院側の専門のカウンセラーから入院手続きや手術の日までの過ごし方を説明いただき、たくさんの記入用紙を持って自宅に戻った。
余談
実は岩井先生の診察の後、日本テレビでやっている「世界仰天ニュース」の2020年9月8日放送分で、唾石症のことが紹介され、しかもその中で岩井先生がインタビューに答える様が放送されるという事態が起こった。
偶然にも程があるすれ違いに思わず笑ってしまった。もしかするとこの放送が終わったあとだったら診察の予約も手術の日程ももっと先になっていたかもしれない。
(vol.3 「入院」に続く)