2023/11/16に開催された「Asanaコミュニティ静岡#02」のメインセションに、登壇させて頂きました。
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「ソフトウェア開発子会社立ち上げのためのタスク管理術 〜Asana活用で"混乱期"を乗り越える〜」という長ったらしいタイトルを付けてしまったのですが、私が所属するKDDIアジャイル開発センター株式会社(以下KAG社)が親会社から離れて組織として立ち上げていく際にAsanaを活用したよ、というお話をさせて頂きました。
堅苦しい登壇タイトルにしてましたが、言い換えれば「大橋がAsanaを愛する理由」ってわけです。
登壇スライドは以下。
今回は登壇スライドの中からいくつか深掘りしたい話をピックアップしてお伝えしたいと思います。
KAG社の成り立ちについて
KAG社はもともと社名にある「アジャイル開発センター」という名前の部署がKDDI本体があり、そこからスピンオフして作られたKDDIの開発子会社です。 正確にはKDDI Digital Divergence Holdingsの配下にあるため孫会社ではあるですが、KDDIの100%子会社になります。
当社はその名のとおりKDDI社内で唯一アジャイル開発を専任で行っていた開発部門であり、エンタープライズにおけるサービス開発こそ10年以上の実践知があります。が、こと会社の立ち上げに関しては社内に経験のある人がいませんでした。この「ズブの素人集団による開発子会社立ち上げ」は、想像を遥かに超えるほど混乱を極めました。
なぜAsanaを選んだのか?
当社はアジャイルによる開発のタスク管理としてAtlassian社の「Jira」を使っています。このツールは当社が採用している開発プロセスである「Scrum」にこそ親和性が高いですが、機能が複雑で見にくい部分もあり、開発者が使うことを目的として作られているため、経営層が使うにはUI的にも機能的にもマッチしていないことは明らかでした。
そこで、我々はJiraとは別にAsanaを選択し、2つのタスク管理ツールを使い分けることにしました。
ではなぜ当社がAsanaを選んだか?といえば、
- 超シンプルであること(機能のプリミティブさ)
- 日本での可能性があること(まだこれからで差別化要因にもなる)
- コミュニティ対する理解が深い
で、私が個人的に社内で推したのは「3. コミュニティへの理解の深さ」でした。
当社の所属社員は多方面で社外コミュニティに参加したり、自ら主催してる者が数多くおり、社としても評価指標にコミュニティ活動参加を取り入れるなど、コミュニティの重要さを理解しています。Asana社は社自身がユーザーコミュニティの活動を徹底的に支援しており、その点においても当社と考え方が近い点も採用の理由の1つになっています。
今回登壇させていただいた「Asanaコミュニティ静岡」のようなローカルな活動をはじめ、認定Asanaアンバサダー制度や、Planetという企業版のユーザーコミュニティなど、Asanaというシンプルなサービスに対する活動としては非常に多岐にわたっていると思います。
何より、Asanaコミュニティマネージャの長橋さんやAsanaアンバサダー萩原さんの存在が大きいのは言うまでもありません。 「コミュニティの理(ことわり)」を知っている人が率いるユーザーコミュニティの存在は、参加する側、そしてユーザー側としてもたいへんな安心感があります。
KAGにおけるAsanaの使い方
フルリモートワークを前提とする当社には、そもそも出社という物理的な行動はすでに概念になってしまっており、その概念上における出社は、Slackにアクセスすること、に置き換わっています。言ってみれば「Slackに出社する」といった感じでしょうか。
Slackに出社する、というイメージがどんなものか理解できない方にご説明しておくと、、、
みなさんは出社したあと自席でじっとしているだけじゃなく、誰かに挨拶にいったり会議室に移動したり、あるいは書庫や書棚の前で調べ物したりカフェコーナーで休憩したりしていますよね?それとほぼ同様の行為をオンライン上で行っている、と思ってもらえるとわかりやすいかもしれません。
出社直後は自席にいきつつ簡単な挨拶といった感じでチャットに書込み、立ち話/朝会/会議はそのチャットからいきなり実行できるSlack Huddleで行い、集めた情報はひとりごと的にチャットに流し、カジュアルな内容ものはSlack Canvasに、テキストベースのものはAtlassianのConfluenceに、キレイにしたいものはOffice文書に纏めて保管します。そして、それらが必要なときには検索したり分析したりして取り出し、その情報をもとにアイディアを練ってまたオンラインでWeb会議を開いて議論し、、、といった具合です。
フルリモートであっても、出社しているときとほぼ変わらないスムーズさでコミュニケーションと情報管理ができる仕組みが実現できているわけです。
もちろん、対面で行ったほうが絶対に良い/効率が良いことはたくさんあるので、そこは使い分けながら運用しているのが実情ですが。
また、当社はScrum@Scaleのプラクティスを組織運営に取り入れようと試みています。まだ全然うまくいっている状況ではないのが事実ではありますが、、、
各チームから上がってきた課題を経営層までエスカレーションできるような仕組みや、我々経営基幹職を中心に取り組んでいる組織課題を見える化してオープンにし、どんなことを日々行っているか見えるようにしています。経営基幹職はこの課題の棚卸しをスクラムイベントとして週に3回のミーティングを開いており、優先順位付け、担当者決め、認識合わせ、課題の議論などを日々行っています。短期間かつ一定周期で立ち止まって同期させながら全員で解決に向かっていくこのテンポ感は、まさにアジャイル組織における組織課題解決の方法の1つと言えるのではないでしょうか。
実は、ここに「Asana」を活用しており、全社員が見えるところに置いて、すべての経緯をタスクのコメントにまとめて管理しています。
組織課題解決に向けたタスク管理は、すべてAsana上に集約されているわけです。
少し特殊?なAsanaの使い方
当社はコミュニティ活動を全面的に推している、という話を先に書きましたが、評価や活動把握のため、社員が運営しているコミュニティのイベントや、登壇、参加しているイベントについてもAsanaに入れて管理するというルールになっています。後でその人がどんな活動を行ってきたのか、や、これからどんな登壇が行われるのか?を知るための手段として使っているのですが、Asanaはタスクに開始時間と終了時間を設定できるので、これをイベントの開始時間と終了時間と読み替えて登録することで、カレンダーにその時間帯が表示されるようになります。
またAsanaはプロジェクトに設定されたタスクをカレンダー形式でエクスポートすることができ、定期的にGoogleカレンダーやMS Outlookのカレンダーに同期させることができます。 これを活用し、当社では社で使っているOutlookのスケジュールにAsanaの「イベント管理」というプロジェクトのカレンダーを同期させることで、同僚がどのイベントに出ているのか、や、自社主催のイベントがいつ開かれるのか?といったことも、自分のスケジュールと併せて見ることができるようになっています。これにより、コミュニティの勉強会に参加するきっかけを作ったり、失念防止に役立てていたりしています。
さいごに
我々がAsanaを選んだ理由は、多機能であることでも、安いからでも、かっこいいUIがあるからでもありません。
サービスとしてはこれからだし、機能も非常にプリミティブで、値段設定にも問題があります。まだまだこれからという点はたくさんあることは否めません。
でも「これからである」ということに対する企業とユーザーの意識と勢いが、他者とは決定的に違っていると私は感じています。
まだAsanaを使ってみたことがない人は、無料で使い出せるので、ぜひ個人タスクの管理からスタートしてみてください。
さいごに、このような機会を与えてくださったAsanaJPの皆様、ありがとうございました。